不動産売却

【アパート売りたい】春日井の古いアパートを相続したが修繕費や税金が高い

【アパート売りたい】春日井の古いアパートを相続したが修繕費や税金が高い
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相続した築50年のアパートを売却したい

春日井でも街を歩いてると古いアパートをみかけます。昭和40年~50年代によく建てられた木造2階建で戸数が4戸~8戸くらいの規模のもの。

そのような古アパートを相続されたDさんから売却の相談を受けました。

いま売るならいくらで売れる?入居者もいるしお金にも困ってないけど、建て替えも含め、将来どうするのが一番いいか、アドバイスが欲しいとのことでした。

  • 最寄り駅はJR春日井駅で2km圏内の立地
  • 建物は昭和49年築の木造2階建、2DKが4戸
  • 築後50年ほど。土地の広さは50坪ほど
  • 現在、2戸賃貸中、2戸は空室
  • 賃料収入は2戸あわせて月額8万円(年額96万円)
  • 固定資産税は年間10万円ほど
  • 建物は老朽化しておりメンテナンスはあまりしてない
  • 借金はなし

そこで今回は老朽化したアパートの売却方法について説明したいと思います。

アパートの所有をやめて売却したい理由

維持するのにお金がかかりすぎる

いまのところ入居2件分の賃料収入が年間100万近くある。しかし最近でも給湯器が壊れたり、伸び過ぎた樹木の伐採などで維持修繕の費用がかかった。

近い将来、いままでやってこなかった屋根やベランダの防水や外壁の塗替などの大規模修繕工事もしないといけないかもしれない。

空いている2戸に新しく入居者を入れるにしてもお部屋のリフォームをしなければならない。先行投資しても入居者が入るかどうか資金を回収できるかわからない。

収益があっても修繕の費用対効果を考えると、積極的に貸したいという気持ちにはならない。

将来的な空室リスクを考えると建替えもしたくない

アパートの建替えしたとしても、新築時の表面利回りでもせいぜい3~5%程度。さらにいまは数年前と比べても、建築費が1.5倍以上高くなっている。

新築後5年や10年は入居者にも困らないと思うが、一括借り上げの保証があったとしても、将来的な2、30年先以降の賃料相場の低下や空室リスク、定期的な修繕コストを思うと簡単には踏み切れない。

結局、維持するのにお金がかかるので、将来に不安を残しながら所有し続けるより売却してすっきりしたい気持ちが強くなってきていました。

アパートの売却査定の仕方

Dさんとしては、金額によっては売却したいと考えています。当然、安く買いたたかれるなら、売る決断もできません。

ちなみに、アパートを売る場合、一般的な戸建てや土地を売るのと比べて売買価格の決め方がちょっと違います。

実際に、Dさんのアパートがいくらで売れるのか?

アパートの査定の仕方について説明します。

アパートの査定方法は「収益還元法」が基本

賃貸アパートや賃貸マンションなどの収益物件は、主に「収益還元法」「取引事例比較法・積算法」という方法によって価格を算出することができます。

「賃料収入」をベースにした「収益還元法」

「収益還元」というのは、賃料収入をベースにした査定方法で、買い手は不動産投資として購入を検討するので、投資金額(購入金額)に対して、年間いくらの収入を得られるかによって、その物件の収益性を利回り〇%という形で表現します。

例えば年間200万円の賃料収入があるアパートの場合、利回り10%で計算すれば評価価格は2000万円利回り5%だと評価価格は4000万円ということになります。買手が高い利回りを求めれば求めるほど価格は安くなってしまいます利回りによって価格が大きく変わってきますが、物件の入居状況、築年数や修繕履歴、立地や構造、周辺環境によって利回りの相場は変わります。

一般的な不動産投資で求められる利回り相場としては、築浅や人気エリアなど条件が良い物件で最低5%以上、築古や修繕がされてない、駅から遠いなど条件がよくないと最低でも10%以上です。

土地・建物の価値をベースにした「積算法」もある

「積算」の場合は、近隣での取引事例を参考にして土地と建物そのものの価値を算出します。住居や土地など一般的な不動産の査定方法はこの積算の考え方ですが、収益アパートの査定方法には向きません。ただ、アパートの土地の価値を算出するなら使えます。

仮に、Dさんのアパートで試算してみると、建物は築50年経過しており価値はゼロ、土地相場は坪40~45万、土地面積が50坪なので総額2000万~2250万くらい。

アパートの解体費用分200~300万はマイナス評価として、おおよそ2000万くらいということになります。

なんだかんだで収益還元の利回りで計算するのと近い価格にはなっていきます。

Dさんのアパートの査定価格はいくら?

Dさんのアパートは全4戸のうち2戸入居中ですので、現状の年間賃料は96万円。

立地はいいものの、築50年でメンテナンスもされてないので、最低でも利回り10%以上ないと買手を見つけるのは難しいかもしれません。

現状の年間賃料96万ですが、空室2戸が入居したとして、年間賃料192万、満室想定で利回り10%で計算すれば、評価価格は1920万円となります。

現実的には、もう少し利回りが高くないと売るのは厳しい気がしますが、不動産の売買価格というのは需要と供給のバランスで決まります。買いたい人が多ければ多いほどその不動産の価格は高くなる。逆に買いたい人が少なければ少ないほど価格は安いなります。これは土地でも戸建てでもアパートでも同じです。

アパートを売るための基礎知識

評価の方法によって価格差があることは説明しました。売主としては売りたい価格で買ってくれる買い手を見つければいい。そのためにアパートの売り方にも工夫が必要です。

オーナーチェンジとして売ろうとすると安くなる

Dさんの木造アパートの場合、どうしても築年数と修繕状況を考えると、次なるオーナーとなる買い手としては、空室2部屋の内装リフォームや外壁塗装など大規模修繕の負担を考えると、立地はよくても、10%の利回り程度では、なかなか購入に踏み切ることは厳しいでしょう。

収益物件を買いたいというニーズは、マイホーム目的の住宅や土地に比べると圧倒的に少なく、買い手は事業目的の買取業者や不動産投資家です。木造アパートの耐用年数が短く、古い建物は修繕コストなどを割り引くので厳しい価格交渉になりがちです。

入居者付きのままオーナーチェンジで売るとなると、利回り12~13%くらい必要かと思います。その場合、年間200万の賃料収入が入るアパートで売値が1500~1600万円くらいとなります。

もしDさんよりもっと立地が悪いアパートなら、利回りはもっと高くする必要があるでしょう。

入居者退去で空き家にして売ると土地相場で売れる

もし、Dさんが入居者を退去させて売却しようとするなら、オーナーチェンジで売るよりはるかに買い手は見つけやすくなります。収益物件としてではなく、その土地に住宅を建てたいというニーズはたくさんあるからです。買い手の候補としては、春日井市内で住宅用地を探している一般の人が対象になります。

Dさんのアパートは現時点で入居者が2戸ありますが、その人達を立ち退きさせることができれば土地として売却することが可能となります。建物を解体すれば土地相場で買い手はすぐ見つかるでしょう。土地相場が坪45万で広さ50坪なら2250万円です。

買取業者への売却はいちばん安い

広告宣伝で目にするような買取業者にアパートを売ろうとすると買い叩かれてしまいます。土地相場が坪40万のところでも、業者の買取金額はよくて土地相場の5~6割でしょうか。

買取業者は収益アパートを持ち続けるわけではなく、将来的には入居者をすべて立ち退きさせて、建物を解体して土地の転売で利益を出します。それくらいで買わないと事業として成り立たないからです。

全部屋が空室になれば一番高く売れる

Dさんが、もし全室退去させることができれば、土地相場でオーナーチェンジよりも高く売ることができます。

建物は解体しなければいけませんが、土地面積が50坪を坪45万、2250万円で売ることができます。

土地相場で売るための一番のポイントは賃借人がいないこと。

高く売ることを優先するなら、何年もかかるかもしれませんが、立退き交渉も視野に入れてもいいでしょう。

新規の入居者は受け入れない、定期借家契約にするなどの方法もあります。

立退き交渉について

立ち退き交渉はよくおこなわれていることですが、入居者が立退きに合意してくれるまでそれなりに時間がかかります。賃借人の状況によっては引越し先の世話や立退料の支払いも必要です。

最初はほとんどの入居者が拒否されますが、粘り強く誠意をもって話を続けるしかありません。

まとめ

Dさんは結局、現在の2件の賃借人が退去したら売却を検討しようという方向性になりました。現時点では立退き交渉もせずに、大規模修繕も行わず、最低限の管理コストで維持していくとのこと。

アパートを少しでも高く売るためには工夫がいります。築年数の古い老朽化した木造アパートは買い叩かれやすいのです。

いざ相続や急な事情で売り急ぐような事態になってから動いても遅いです。

「入居者がいるままオーナチェンジで売却するか?」「立退きして空き家にした状態で売却するか?」によって、売れる金額が大きく違います。

アパートの価値を無駄に落とさないために、オーナーとしてやっておくべきアパート対策があります。いまからでも間に合いますので、春日井のアパートの売却をお考えになったときは、春日井シティ不動産にご相談ください。

ABOUT ME
山本 直嗣
山本 直嗣
春日井シティ不動産(株)代表
名古屋のお隣、春日井市で不動産業を営む。地元の鳥居松出身で鳥居松小柏原中OB。平成17年に春日井シティ不動産を創業し、不動産売買と賃貸管理を中心に1000件以上の不動産問題を解決。趣味はラグビー。
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