【これからの土地動向】「高くても売れる土地」と「タダでもいらない土地」
「俺に売れない土地はないっ!!!」
その昔、もう25年以上も前ですが、今で言えば超絶ブラック、イケイケ営業の不動産会社で勤めていた頃、上司がよく豪語していました。
「俺に売れない土地はない!!!」
山林でも、荒野でも、原野でも、人っこひとりいないような土地でも、必ず売る。売れない土地はないと。
営業成績がなかなか上がらない私が売れない理由をあれこれいうと、土地の場所が悪いとか、陽当りが悪いとか、地形が悪いとか、環境が悪いとか、そんなの関係ない。
「売れないのは、お前の営業力がないだけだ!!!」
誰でも欲しがる土地を売るだけなら営業なんていらない。会社から売れと言われれば、目の前に落ちてる石ころでも売るのがプロの営業だと。
たしかに、保険でも車でも、同じ商品の売れ行きが営業マンによって違うわけだから、商品以外の営業マンの力量の違いがあるのは明らかです。
人が減り土地が余る時代に
鬼上司の元でしごかれた時代を懐かしく思うのと同時に、時代の大きな変化を感じてしまいます。
昔のいわゆるバブル、土地神話の時代は、どんな土地でも資産価値があると信じられていたので、それこそ僻地の山林でも将来の値上がりを期待して買う人がその辺にごろごろいました。
でもいま、将来の値上がりを目的に投資で僻地の土地を買う人はまずいないでしょう。
インターネットが普及して、一般の人もプロ並みの情報が簡単に手に入るようになりました。少子高齢化で人口も減っていきます。都会に人が集中して、田舎は人が減っていくばかり。
土地の価格は需要と供給のバランスで決まるわけで、買いたい人がたくさんいる地域なら土地は高くなるが、売りたい人が多い地域ならば土地は安くなります。
春日井でも、例えば、勝川周辺は買いたい人が多いので高くなりますし、郊外の不便な場所などで、買いたい人がいない土地は安くても売れない状況が出てきています。
春日井の住宅地は需要あり
幸い、春日井は名古屋のベッドタウンということで、住宅用地としてのニーズはたくさんあるので、価格の高い安いはありますが、住宅地でどうにも売れないという土地はほとんどありません。
ちなみに、事業用地なども駅前や幹線通りの条件のいい土地は取り合いです。
でも、山とか田んぼとか郊外の不便な場所だったり、住宅地でも環境や地形が悪すぎると、価格が安かったとしてもそもそも需要がない、買い手がみつからず塩漬けになっている土地もあったりします。
売れない土地、「負動産」は増え続ける
昭和世代と平成世代、親世代と子ども世代、土地の所有に対する価値観が違ってきていて、自分がせっかく守ってきた土地を相続することを子どもや喜ばないどころか面倒がるという話も最近はよく聞きます。
本当に欲しいものは高くても手に入れたいけど、タダでもいらないものはいらない。そういう人が増えています。
だから、かつてのスーパー営業マンの上司も、当時の勢いのままに、「俺に売れない土地はない!!!」と豪語はできないだろうと思うのです。
「さすがの俺でも、この土地はさすがに売れない。お手上げ。」というような、需要のない土地、タダでもいらないといわれてしまう土地はこれからも増え続けるでしょう。