土地や建物を売ろうと思ったときに最初にすること。それは価格査定です。まずはいくらで売れるか知りたいですよね。
不動産業者に価格査定の依頼をすれば無料ですぐに査定をしてくれます。最近では、ネットで簡単に一括売却査定をすることも一般的になってきましたが、今すぐにでも最高額で売れるかのような、売主の期待をちょっと煽りすぎてる感があるので、一括査定の実際のところを記事にしてみました。
従来のように不動産屋ごとに査定を依頼するにしても、ネットで一括査定をするにしても、メリットとデメリットがあります。不動産仲介の査定の本質的な意味合いも含めて説明していきます。
不動産売買仲介の高額査定で喜ぶのはまだ早い!
いますぐ査定結果がわかる!?インターネット一括査定サイトとは?
いくらで売れるのか知りたいときインターネット上で複数の会社に一括で査定依頼ができるサイトを利用される方が増えています。物件の所在や広さや名前や連絡先など必要項目を入力していくと一度に6社とか査定依頼が一斉にできメールや電話で各社から査定額の提案が届くという仕組みです。
お手軽に自分の家や土地がいくらで売れるか?複数の会社を比較しながら知ることができるのは不動産売却を検討するうえで便利なシステムです。
一括査定は査定額は値上がり傾向
不動産業者も他社と競争なので正式な売却依頼をもらえるように他社より高く売れるPRが欠かせなくなっています。そのため査定提示額が値上がり傾向になっています。売主としても高い査定額を提示してくれる不動産業者に売却をまかせたいと思うのは自然の流れです。
高額査定で本当に売れるのか?
でも最近、他社より高く売りますと高額査定で売却依頼を受けたにもかかわらずその査定額で全然売ってくれない不動産業者が増えているようです。売主としては高く売ってくれると期待して売却をまかせたのになかなか買い手を見つけてくれない!?
先日も春日井で相続した土地をA社の担当者が高く売れる!というから売却をお願いしたのに、全然売れずに値下げばかり要請してきて困る。というご相談をいただいたばかりです。
売買仲介の査定のカラクリ
不動産業者は近隣で取引された事例や経験値をもとにその不動産が売れるであろう想定価格をはじき出して売主に提案します。しかし不動産仲介の査定価格というのは、「絶対」売れるという売値じゃなく、売れる「かも」という予想売値なのです。不動産業者がその査定額で買ってくれるわけじゃない。その査定額で買ってくれそうな人をこれから探しますというのが仲介というシステムです。

売主が不動産を売るのをどの業者にまかせるかは価格査定の結果をみて判断されることです。業者としても売却依頼をもらうためにいくらの査定価格を提示するかは力の入れどころとなります。
でも繰り返しますが、例えば不動産会社Aが他社と比べて最高額の査定価格を提示してきたとしてもそれはA社が買い取る金額じゃなくただ売れるかもしれないという希望価格です。その査定額で売れる可能性もありますが売れなくてもA社はその責任はとりません。
安すぎる査定は見破りやすいが、インチキ高額査定が見破りにくい
売主にとっての一番のリスクは適正価格よりも安く売らされることです。相場なら坪40万で売れる土地をあたかも坪30万でしか売れないように売主の利益を損ねるような業者に騙されないためには複数の業者に査定額を聞けば簡単に回避できます。

逆に高すぎる査定にも注意が必要です。どの会社も坪40万位の査定なのに坪50万の査定を出してくる会社があったとしたらどうでしょうか。それはそれで怪しいなとは思うかもしれませんが高額の数字に目が向くのが売主の人情です。押しの強そうな営業マンが50万で売れるように頑張ります!!と言われたら可能性を信じてまかせてみようかなと思ってもおかしくありません。
売主の高く売りたい気持ちにつけ込む高額査定
高額の査定価格に期待して売却をまかせたのに全然売れない、時間が過ぎるばかりで最後は大幅に値下げして売らざるを得なかった塩漬け状態の物件になって無駄に時間だけ費やしただけなんていうのはよく聞く話です。長く売れてない物件は印象はよくありません。最初から適正価格で売り出していたら多少でも高く売れたかも知れない。
たしかに仲介の査定というのは予想価格なので絶対売れる保証はもともとないです。プロでも相場を見誤ることもあるし売主がそこを納得してうえでの結果なら何の問題もないことだと思います。でも不動産業者として自らの査定価格で買い手を見つけられないということなら売主の期待を裏切ることになるわけでプロとして恥ずかしいことなはず。
営業強めの会社に多いですがノルマ達成のためまずは売却依頼をとるだけが目的でとにかく他社より高額査定で売主の気を引こうとする業者もいるのです。売却依頼を受けて少しするとやっぱり高くて売れないので価格を下げましょうなんて平気な顔で言ってきます。
業者の営業力で他社より高く売れる可能性はあるか?
不動産の売買は売主が希望した売出価格○○円に対して買主がその価格○○円でも欲しいもしくは△△円に安くしてくれたら欲しいというお互いの条件が合意したところが成約価格となります。
価格は需要と供給のバランスで決まります。相場坪40万の土地だけど売り手は坪50万で売りたいそして50万でも欲しいという買い手がいれば理屈上は坪50万で売買は成立します。でも現実としてはどうしてもその土地が欲しい相場より坪10万高くても買うという買主はまずいません。
どうしてもその土地じゃないとダメという隣地購入とか駅近の一等地とか相場より高く売買されるケースもないわけじゃないけどそれは業者の営業力は関係ないし春日井の住宅地においては現実離れした話です。普通はほかの土地を探します。
インチキ査定に振り回されない不動産業者の選び方
本来の査定価格は売出して3カ月位で売買が成立するだろう価格
本来の査定価格というのは売り出して3カ月を目安売買が成立するであろう価格をイメージして提示します。不動産業者は査定価格をお客様に提示するときにきちんとした根拠を示すことになっています。ここ数年に実際に取引された近隣の成約事例は一番わかりやすい指標です。自社の過去の成約事例やレインズの成約事例や同業者へのリサーチをして正確な相場を把握したうえで市場動向や需要動向買い手へアプローチ方法なども踏まえています。
地域に精通している業者の査定額は大きく違わない
どの業者も査定の根拠となるその地域の成約データは同じ事例をみています。その事例にプラスしてそれぞれの経験値を加えて最終的な査定価格を提示するので業者によるバラツキはある程度は出てきます。しかし地元の取引に精通している業者なら意図的じゃなければそこまで大きく査定額が変わることはありません。
他社より高額査定は買取ならOK。仲介はその根拠を確認。
飛びぬけて高い査定価格をだす業者がいたら現実に今すぐその高い価格で買うお客様がいるのか聞いてください。いるというなら買付証明書をもらってください。売れるように頑張りますというだけならハッタリ査定かもしれません。
まとめ
売主としては、できれば高く売りたい、だまされて安く売りたくない、不安と期待が入り混じった中で、いい仕事をしてくれる不動産業者を見極めなければなりません。クルマの買取なら、業者が提示した金額で買ってくれる金額ですから、一番高い金額を提示してくれる業者に売ればいいのでわかりやすいですが、不動産仲介の査定は、あくまで売れるかもしれないという価格です。
そこで、不動産仲介業者の見極めのために、おすすめしたいのは、地元密着の不動産業者3社ほどに相場を聞いてみることです。まともな業者なら強引な営業することなく親切丁寧に教えてくれます。沢山の業者に依頼すれば、高く売れるというわけではありません。
インターネット査定は、売り手が不動産屋に出向くことなく、複数の業者に無料でかんたんに相見積できるというのが画期的でした。しかしその反面で、現地調査や売主面談をしない簡易査定なのにもかかわらず、どんな物件でも高く売れるかのような誇大広告の影響か、業者も依頼をとるがための高額査定が横行するようになりました。ピンポイントで○○円じゃなく、幅の大きい○○円~□□円というアバウトな査定になりがちなので、あくまでネット一括査定は参考程度です。どうか後悔のない不動産売却を実現してください。
